みんなアホだね

Stereo Tokyoファンのブログ

EDM-10 Electron;Perfumeのカウンター

 楽曲紹介第5弾。デビュー1周年、「Electron」、Stereo Tokyo始まりの曲です。

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グループのカラーを最初から確立するのに成功した、デビュー曲にして代表曲。アイドル楽曲でありながら決して音作りに手を抜かない、制作サイドの強い意志を感じさせます。その意志がブレずに今も続いていることは本当に嬉しい。

さて、この曲、歌詞中に「Electron world」と出てくることから、Perfumeの「エレクトロ・ワールド」(2006年。もう十年前!)を連想させることが、以前から指摘されています。

 この世界のスイッチ 押したのは誰なの あああ もうすぐ 消える エレクトロ・ワールド
(Perfume、2006)

 ミクロの中に 創られた わたしたちの この世界 Electron World
(STEREO JAPAN、2015)

アイドル楽曲の歌詞をあれこれ分析するのは野暮だから比較はしませんが、Electronの振り付けにはPerfumeのトレードマークでもある⊿をかたどるポーズもあるし、そもそも「STEREO TOKYO」という名前自体が中田ヤスタカさんの2003年制作の曲にあります。Perfumeまたは中田さんへの強い関心が、水江さんもしくはAutoclefにはあるのかなと考えるのは妥当だと思います。なんといっても、中田さんは、アイドルと電子音楽の相性の良さを証明した第一人者ですからね。

私も、基本ハロプロヲタですが、Perfumeはブレイク以前の「モノクロームエフェクト」(2004年)から買ってるし、2008年のGAMEツアーにも行ってます。capsuleも2005年からドハマリして、2011年の12枚目のアルバムまでは全部持ってます。

特に好きなのは2006年の「Starry sky」ですね。

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まるで音が光のシャワーになったような美しく降り注いでくる旋律。これを聴いた時は本当に天からの啓示と思って、実際にナマのヤスタカさんを見たくてしょうがなくて、ガラにもなく深夜のクラブにお出掛けしたものでした。フロアの盛り上がりの中、DJブースで両手を上げる中田さんは、まさに王、皇帝でした。

2011年に、私の中でのヤスタカさん熱は一区切りしました(それでもきゃりーさんの2013年「なんだこれくしょん」までは買ってますが)。そんななか、やたらPerfumeさんの新作アルバムが「EDM、EDM」と騒がれてるので、つい数日前に買ってみました、「COSMIC EXPLORER」

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で、このCOSMIC EXPLORER」が本当にとんでもなくて、ぜひタワレコさんで試聴してみていただきたいのですが、宇宙の意思に触れたような荘重なサウンド、光が放射されるような音の乱反射、美しすぎる3人のハーモニー、同じEDMでもこんなに表現される世界観が違うのかと驚きます。

で、思ったのです。Perfumeは天上の音楽、Stereo Tokyoは地上の音楽だと。中田ヤスタカさんの音楽は緻密で、完璧で、壮大で、スキが無い。まさに「完璧な計算」でつくられています。そしてその世界観を、かしゆか・のっち・あーちゃんの3人は、それはもう不断の努力で「Perfect star,Perfect style」に表現しています。

そのスタイルは神々しく、まばゆいのだけど、受け手としては、ただ享受するしか、鑑賞するしか道が残されてないんですよね。すごく寂しくなるんです。私はもっと土臭くて、スキがあって、余白があって、一緒に作り上げていくほうが好きなんですね。中田サウンドへの水江さんのカウンター、アンサーが、Stereo Tokyoのサビなしドロップという手法なんだと、私は解釈しています。要するに、もっと騒ごうぜ!ということです。

 「Electron」のドロップの音ってのは本当に騒がしくて、絶対中田ヤスタカさんからは出てこない音です。このドロップの騒がしさ、何かに似てるな~と思ったら、気付きました。インドネシアの金属系鳴り物を取り入れた民族音楽、ガムランです。

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うんうん、これこれ。天上の美しさとは無縁の、けたたましい地上の音楽です。って思ってたら、そのインドネシアで、Ren-ai Projectとかいうアイドルグループが「Electron」をカバーしていることを、ツイッター経由で知りました。

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このファンのノリノリ具合、絶対ガムランの血が騒いでるんだと思います。

 

というわけで、Perfumeは天上の音楽、それに対するカウンター、地上の音楽として誕生したのがStereo Tokyoというのが私の解釈です。んで私はワーグナーよりは民族音楽が好きで、ワルキューレよりはジャンヌダルクが好きで、銀河帝国よりは自由惑星同盟が好きだということ。そのことに改めて気付かせてくれたCOSMIC EXPLORER」に感謝です。

 

「Electron」と「Anthem」、地上を這う者の讃歌です。

 

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