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Stereo Tokyoファンのブログ

EDM-15 ドルヲタ水江文人、プロデューサーへの道

アイドル業界前代未聞のCD撤廃という荒行を発表した風雲児・水江文人P。2013年つばさエンタテイメントに入社してまだ4年目にして辣腕を揮いまくる、28歳の新進気鋭のプロデューサーを特集します。

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水江文人、福岡県出身、1987年11月20日生まれ、さそり座。幼少期はピアノの習い事に励む一方、野球少年でもあった彼の、アイドルヲタへの扉はハロプロから始まりました。ライトなモーニング娘。ファンであった彼を熱中させたのは松浦亜弥だったそうで、2002年当時の彼の愛用シャンプーはティセラでした(twitter調べ)。なお、最初に買ったCDは不明ですが、初めて「ジャケ買い」したCDは「カレーライスの女」だそうです。これはハロヲタ歓喜です。

 

2007年4月、早稲田大学政経学部に入学。以降4年間の詳しいことは不明ですが、2010年、AKB48が「ヘビーローテーション」でJ-POPシーンを席捲したその秋に、事件が起こりました。

▲YMT56のセンターとして活躍▼

YMT56発足。11月の早稲田祭で初公演。伝説の幕開け。

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AKB48の出演する慶応の三田祭に対抗すべく結成されたというYMT56。名前の由来はご存知、山本五十六元帥です。披露曲は「言い訳Maybe」と「ポニーテールとシュシュ」の2曲ながら好評を博し、調子に乗って同年12月にはYou tubeにYMT56チャンネルを開設。次々と動画をアップしていきます。

反響はマスコミに波及し、2011年2月、「女性自身」にブチ抜き2ページで特集が組まれ、3月には「HEY!HEY!HEY!」に、5月には「はなまるマーケット」に出演。9月には「アッコにおまかせ!」にも出演します。

この2011年は、YMT56が本家AKBを盛大にパクリまくった年で、6月には選抜総選挙を実施。水江さんは413票を獲得し、センターに選出。

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そりゃビジュアルがお強いから、当然だよね。。

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9月には、じゃんけん大会も開催します。水江さんは4位でした。

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11月には、もちろん2回目の早稲田祭に出演を果たします。

2012年は、あまり主だった活動は無し。2011年に「やりきった」という感覚があるのかもしれません。3回目の早稲田祭は、「きもいろクローバーZ」として出演し、本公演をもってYMT及びきもクロは解散します。

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翌2013年3月、早稲田大学中退。つばさエンタテイメントに入社します。

 

▲ドルヲタからプロデューサーへ▼

さて、生粋のドルヲタであった水江さんは、なぜアイドルをプロデュースする側に転身したのでしょうか。その理由を推測するなら、端的に、「そのほうがおもしろいから」の一語に尽きると思います。

だいたい、ドルヲタなんて、ストレスばっかりです。「なんでこのタイミングで運営はAちゃんを押さないんだ」とか、「この曲は勝負曲なんだからもっと死ぬ気でプロモーションせえよ」とか、「夏はとりあえず水着にしとけばいいとか安直なんだよ」とか、「わかってない運営」にイライラしだしたらキリがありません。アイドル自身がどんだけ頑張ろうと、ファンがいくら応援しようと、運営が無能なら、成功は絶対にありません。仮に運営がビジネス的に才能があっても、人の気持ちを考えないヒトデナシなら、アイドルは病んでしまいます。

私は3月13日にHAPPY JAMでStereo Tokyoに衝撃を受けてから、急いで水江プロデューサーの情報を収集し始めました。「わかってない運営」に振り回されるくらいなら、必死こいてファン活動なんてやらないほうがマシだからです。

そんな徹底リサーチの折、ALL ABOUTに掲載されていた水江さんの次の言葉が、私の心を強く揺さぶったのでした。

 

――BABYMETALはスタートはアイドルでしたけど途中で海外とリンクして、そこからアイドルファン以外も取り込んで。

「それも大事だと思ってて。アイドル的なやり方に染まりすぎると頭打ちになると思うんです。うちも今握手会とかやってますけど、握手ってやりすぎると止めるタイミングを逃しちゃう。そのスタイルだと箱の規模でいえば2000人くらいが限界ですよね」

――そこから上の規模に上がって、さらに継続させていくためにはももクロみたいに一般人気を掴むか、BABYMETALみたいに海外で受けて逆輸入的にファンを増やすといったアイドルファン以外を取り入れる必要がありますよね。

「そうなんですよ。そうじゃないと、女の子もモチベーション落ちてきますし、好きなグループが上に昇るところを見たかったファンもその先を見れなくなる。そういう意味でもEDMってフォーマットは対海外という意味でも広げやすいんですよね。アイドルファン以外のところに届けるためにも」

 この、特に赤字にした部分ね。これは、生粋のアイドル好きでなければ出てこない発言であると思いますが、それと同時に、大好きなアイドルが夢半ばで活動を終えて、それを見送らざるを得なかった無念がこもったものに見えるのは、私だけでしょうか。

私は以前、最も好きだったグループ、BON-BON BLANCOが、無念の活動休止という最期を迎えた悲しい体験を今でも引きずっているので、とても心にグッときました。

まぁ実際に、水江さんが「悲しい喪失」を体験しているのかは、私には分かりません。でも、こんな愛情のある発言をできる男が進めるプロジェクトなら、大いに乗っかろうと思ったんですね。

 

水江さんの魅力、それはドルヲタならではの、ドルヲタの気持ちを汲み取った応対の仕方、メンバーへの心配り、YMT56で培った企画力。様々なものがありますが、一番の魅力は「捨て身」であることですね。「おもしろければ死んでもいい」とまでは言わないけど、そう思ってる節がある。戦略においても基本は「捨て身」で、サビを捨てる代わりにドロップを手に入れてるし、CD捨てて他の面に力を注いでいます。「捨ててこそ、浮かぶ瀬もあれ」ですね。

というわけで、この釈ステ、水江Pの、身を捨てるつもりでアイドルシーンに挑むその気高き覚悟と、黄金のような夢に賭けます(注、JOJOね)

 

早稲田の政経に6年間もいた超勉強熱心な男が仕掛けるプロデュース戦略、なめんなよ!

 

おまけ。MARQUEE Vol.111(2015年10月発売)より、水江さんインタビューを一部抜粋。

 

本当にネタ帳があるんですね(笑)

「アイドルファンの時代からメモはしてました。最初の頃、純粋にただ行ってた頃は、全然メモしてなかったですけど、『将来自分でやりたいな』って思ってからはメモを取るようにしてます」

水江さんは戦略を立てるのが好きなんですかね?

「好きかもしれないですね」

その戦略は、不真面目、面白い、笑えるということがすごい大事だと思ってますよね。

「大事です。人生において一番それが大事(笑)」

面白くやってたら、自然とお金は後から付いて来るとも思ってますよね?

「アイドルって言っちゃえば、積ませる文化だと思うんですけど、僕は握手会のためだけに何枚も買うとかっていうのはそんなにしたことなくて。と言うのは、そこまでの面白みを感じなかったから。逆に言うと、面白ければいくらでも出す。最終的にどこを目指すかだと思うんですけど、積ませるみたいなビジネスって2000人ぐらいが限界だと思います。どのメジャーレーベルでやってるアイドルさん見ても、みなさんこの後どうするのかって思うんですよ」

Stereo Tokyoはどういうあり方が理想的ですか?

「アーティスト宣言とかするつもりはもちろんないんですけど、アイドルっていう世界の中で完結するコンテンツにしたくなくて。だからアイドルに興味がない人でも、楽しんでもらえるようなものを作っていきたいです」